株式会社結という会社の副業に申し込んで、電話で高額なサポート費用を払った。
その話を誰かにして、こう言われませんでしたか。
「なんで断らなかったの」
あるいは、言われるのが分かっているから、まだ誰にも話せていないかもしれません。
私は5年前、同じことを人に言った側の人間です。
うちで働いていた若い職人が、副業の情報商材で180万円を失ったときのことです。私は彼に「なんでそんなもん信じたんだ」と言いました。彼は黙ってうつむいて、すみませんでした、とだけ言いました。半年後、彼は会社を辞めました。
謝る機会は、もうありません。
この記事は、あのとき私が彼に言うべきだったことを書いています。
なので、いちばん大事なことを先に書きます。
法律は、あなたに考え直す時間を用意しています。
契約書面を受け取った日から8日間。条件によっては20日間。その間であれば、理由を問わず契約を解除できます。クーリング・オフという制度です。
そして、もしあなたが契約書面や概要書面を受け取っていない場合。その期間は、まだ始まってすらいません。「もう何ヶ月も前のことだから」と諦めている方こそ、この先を読んでください。
ここで、ひとつ考えてみてほしいことがあります。
そもそも、なぜそんな制度があるのでしょうか。
理由はひとつです。その場では断れないことがある、と法律が認めているからです。
電話の向こうで、相手は仕事の話をしています。こちらは説明を聞きながら、断る理由を探している。相手は毎日その話をしていて、こちらは初めて聞いている。その状況で人が冷静な判断をできるとは限らない。だから国は、あとから考え直すための時間を、制度として用意しました。
つまり「断れなかったあなたが悪い」という言い分は、法律の前提と食い違っています。
梶谷守法律のほうが、あなたの側に立っています。まずそこだけ、頭の隅に置いておいてください。
この記事では、株式会社結の副業案件で何が起きているのか、その電話が法律上どの類型に当たる可能性があるのか、「もう期間が過ぎた」と思っている方に確認してほしいこと、クーリング・オフの具体的なやり方、そして会社の情報を自分で調べる方法を、順番に書いていきます。
私たちは弁護士ではないので、代わりに交渉することはできません。できるのは、使える制度をお伝えすることと、窓口へお繋ぎすることです。そのために必要なことは、全部書きます。
この案件で、何が起きているのか
順を追って整理します。
まず、会社を特定します
先にお断りしておきます。
「株式会社結」という商号で登記されている会社は、国税庁の法人番号公表サイトで調べると9社以上あります。芸能プロダクション、建設業、ケータリング、人材派遣。まったく別の会社が、同じ名前で実際に営業しています。
この記事で扱うのは、そのうちの1社です。
| 法人番号 | 4020001161158 |
| 運営事業者 | 株式会社結 |
| 運営責任者 | 名塚實 |
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目8番15号 パークフロント新宿202号室 |
| 電話番号 | 050-8890-6577 |
| メールアドレス | [email protected] |



法人番号を控えておいてください。13桁のこの番号だけが、会社を確実に特定できる情報です。同じ社名の別会社に問い合わせてしまう方が、実際にいます。
国税庁のサイトには、この法人の履歴も公表されています。
- 令和7年2月6日 法人番号指定(設立)
- 令和8年3月6日 商号変更:株式会社Questor(クエスター)→ 株式会社結
- 令和8年5月21日 本店移転:神奈川県横浜市鶴見区 → 東京都新宿区
設立から1年半のあいだに、社名と本店所在地が1回ずつ変わっています。
社名変更にも移転にも、正当な理由があることは珍しくありません。事業拡大でも組織再編でも起こります。ただ、これは事実として記録に残っていることなので、そのまま書いておきます。
入り口は、SNSの広告です
こういう広告が流れてきます。


別のパターンもあります。


副業のランキングサイト経由で来る方もいます。
「0円スタート」のボタンを押すと、LINEに繋がります。
申し込みフォームで、2つのことを聞かれます
LINEから進むと、申し込みフォームが出てきます。入力するのはこの5つです。
- お名前
- ふりがな
- 電話番号(必須)
- メールアドレス
- お支払い方法(必須)


ここで、2つだけ見ておいてください。



「完全無料」と書いてあるページから来て、申し込みのところで支払い方法を選ばされる。私は広告の専門家ではありませんが、この2つが同じ流れの中にあることは、誰が見ても分かると思います。
もうひとつが、電話番号です。



ここ、必須になっています。つまり電話番号を出さないと、先へ進めない設計です。このあと電話がかかってくるのは、偶然ではありません。最初から、そういう作りになっています。
この点は、あとで重要になります。覚えておいてください。
LINE登録から、電子ブックへ
登録すると、個人名を名乗るアカウントからメッセージが届きます。副業の紹介です。
ただし、この時点では具体的な仕事の中身は説明されません。
そして案内されるのが、お仕事診断と、電子ブックの購入です。



この10,800円、報酬を受け取ったあとに後払いで発生します。「0円」なのではなく「今は払わなくていい」という話です。この2つはまったく違うことだと思います。
申し込みフォームで聞かれる、2つのこと
電子ブックの申し込みフォームに進みます。入力するのは5つです。
- お名前
- ふりがな
- 電話番号(必須)
- メールアドレス
- お支払い方法(必須)


「完全無料」と書かれたページから来て、支払い方法を選ばされる。ここも先ほどと同じ形です。
そしてもうひとつ、電話番号。



必須になっています。電話番号を出さないと先へ進めません。このあと電話がかかってくるのは、偶然ではありません。最初から、そういう作りになっています。
この点は、あとで重要になります。覚えておいてください。
電話で、初めて中身が分かります
フォームを送ると、別のLINEアカウントへ案内され、そこから電話での説明になります。
この電話で初めて、副業の中身が明かされます。
内容は、SNSやブログを使ったアフィリエイトです。
アフィリエイト自体は、ごく普通のインターネットビジネスです。違法なものではありませんし、実際に収入を得ている方もいます。
ただ、サイトやSNSを作って、記事を書いて、人を集めて、という作業が続きます。成果が出るまでに数か月かかることも珍しくありません。「1日10分」「頭を使わず簡単」という広告と、同じものを指しているとは、私には思えません。
「motto」の料金表
そして電話で提案されるのが、「motto(モット)」というサポートプランです。
ページには「目的や予算に合わせて選べる9つのプラン」「月額0円〜」と書かれています。
その9つが、これです。
| プラン | 提供期間 | 電話サポート | 料金 |
|---|---|---|---|
| スタートティア | なし | なし | 0円 |
| ライトティア | 5日間 | 初回1回のみ | 173,000円 |
| ベーシックティア | 10日間 | 初回1回のみ | 314,000円 |
| スタンダードティア | 15日間 | 3回 | 482,000円 |
| グロースティア | 20日間 | 5回 | 984,000円 |
| アドバンスティア | 30日間 | 10回 | 1,580,000円 |
| プレミアムティア | 45日間 | 無制限 | 2,400,000円 |
| プロティア | 60日間 | 無制限 | 3,410,000円 |
| エンタープライズティア | 90日間 | 無制限 | 5,260,000円 |
「0円〜」の「〜」の先は、526万円でした。
ライトティアが17万3千円で5日間。ベーシックティアは31万4千円で10日間ですが、**電話サポートは同じ「初回1回のみ」です。**差額の14万1千円が何に対する代金なのか、この表からは読み取れません。
そして上位に行くと、数百万円になります。
この形について、消費者庁が注意喚起を出しています
最後に、ひとつだけ。
消費者庁が2022年9月15日に公表した注意喚起があります。タイトルが、そのまま手口の説明になっています。
1日の作業時間が10分程度の簡単な作業で稼ぐことができるなどと勧誘し副業のガイドブックを消費者に購入させ、その後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起
消費者庁(2022年9月15日)
本文にはこう書かれています。令和3年6月以降、「1日の作業時間10分」の簡単な作業をするだけで稼ぐことができるなどというLINEのメッセージをきっかけに、最初に副業のガイドブックを購入させられ、その後、電話勧誘によって高額なサポートプランを契約させられたという相談が、各地の消費生活センターに数多く寄せられている。
調査の結果、対象の事業者が虚偽・誇大な広告表示および断定的判断の提供を行っていたことが確認された、と。
この注意喚起で名指しされているのは、株式会社結ではありません。別の事業者です。そこは正確に書いておきます。
ただ、書かれている流れを並べてみてください。
| 消費者庁の注意喚起 | 今回の案件 |
|---|---|
| 1日の作業時間10分 | 1日たった10分 |
| LINEのメッセージ | LINE公式アカウント |
| 副業のガイドブックを購入 | 電子ブックを購入 |
| 電話勧誘 | 電話での説明 |
| 高額なサポートプラン | motto(最大526万円) |



判断はあなたに委ねます。私が「これは詐欺です」と言う立場にはないので。ただ、国がすでに注意喚起を出している形と、あなたが通った道が、どれくらい似ているか。それだけは見ておいてほしいと思います。
- SNS広告・ランキングサイト(0円スタート/1日10分/即日報酬3万円)
- LINE登録(個人名のアカウント/仕事の中身は不明のまま)
- 「本来10,800円が今なら0円」→ 電子ブック(※実際は報酬受取後の後払い)
- 申し込みフォーム(電話番号・支払い方法が必須)
- 別のLINEへ再誘導
- 電話。ここで初めて「アフィリエイト」と判明
- motto の提案(17万3千円〜526万円)
- 契約・支払い
無料で入って、電話のところで数十万円から数百万円の話になる。これがこの案件の形です。
そして、その金額の話が出たのが電話の中だったという点。ここに、あなたが使える可能性のある制度があります。
次の章で説明します。
その電話は、法律上「勧誘」だったかもしれません
ここからが本題です。
この案件で、何が起きているのかで「電話番号が必須項目だった」と書きました。覚えていますか。あれが、ここで効いてきます。
まず、この取引がどれに当たるか
特定商取引法という法律があります。消費者トラブルが起きやすい取引を7つの類型に分けて、それぞれにルールを定めたものです。
そのうちのひとつに「業務提供誘引販売取引」があります。
消費者庁の説明を、そのまま引きます。
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。
消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」
条文上の要件は3つです。
- 物品の販売または役務の提供(あっせんを含む)の事業であって
- 業務提供利益が得られると相手方を誘引し
- その者と特定負担を伴う取引をするもの
そして消費者庁は、当てはまる例をいくつか挙げています。そのひとつがこれです。
ワープロ研修という役務の提供を受けて修得した技能を利用して行うワープロ入力の在宅ワーク
消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」
私は法律の専門家ではないので、「これは業務提供誘引販売取引です」と断定はしません。それは消費生活センターや弁護士が判断することです。
ただ、当てはまるかどうかを確認する材料は、あなたの手元にあります。
- 「この副業で収入が得られる」という説明を受けましたか
- そのために、mottoの費用を払いましたか
この2つに心当たりがあるなら、窓口でその話をしてください。それだけで十分です。
該当するなら、クーリング・オフは20日間です
該当した場合、どうなるか。
業務提供誘引販売取引の際、消費者が契約を締結した場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて20日以内であれば、消費者は業務提供誘引販売業を行う者に対して、書面又は電磁的記録により契約の解除(クーリング・オフ)をすることができます。
消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」
8日ではなく、20日です。
そして解除した場合、事業者は損害賠償や違約金を請求できません。支払った代金は返還されることになっています。
「書面を受け取った日から」の意味
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
20日の起算点は、契約した日ではありません。法律で決められた書面を受け取った日です。
そして業務提供誘引販売取引では、事業者は2種類の書面を渡さなければならないことになっています。
- 概要書面
-
契約の締結前に渡すもの
- 契約書面
-
契約の締結後、遅滞なく渡すもの
あなたは、この2つを受け取りましたか。



電話で契約して、その場で支払って、それで終わり。書面は何も届いていない。……もしそうなら、20日はまだ始まっていない可能性があります。何ヶ月経っていても、です。
書面が要件を満たしているか、自分で確認できます
書面を受け取った方は、いま手元に出してください。法律は、記載のしかたまで細かく決めています。
消費者庁の説明から、確認できる点を挙げます。
契約書面のクーリング・オフに関する記載は、赤枠の中に赤字で書かれていなければなりません。
そして書面をよく読むべきことも、赤枠の中に赤字で記載する必要があります。文字と数字の大きさは、8ポイント以上と定められています。
記載しなければならない事項も決まっています。契約書面の場合はこうです。



赤い枠と、赤い字です。ぱっと見て分かります。あなたの書面に、それはありますか。
- 役務の種類と、その内容に関する事項
- 業務の提供(あっせん)についての条件に関する重要な事項
- 特定負担に関する事項(=いくら払うのか)
- 契約の解除に関する事項
- 事業者の氏名・住所・電話番号、法人なら代表者の氏名
- 契約の締結を担当した者の氏名
- 契約年月日
- 商品名
- 特定負担以外の義務があるときは、その内容
- 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
「契約の締結を担当した者の氏名」に注目してください。電話で話した相手の名前です。それが書面に載っていますか。
ひとつでも欠けていれば、その書面は法律が求める要件を満たしていない可能性があります。そして要件を満たさない書面では、クーリング・オフの期間が起算されていない、という主張ができる場合があります。
20日を過ぎていても、使える場合があります
もうひとつ、書いておきます。
消費者庁の説明には、こうあります。
なお、業務提供誘引販売業を行う者が、事実と違うことを言ったり威迫したりすることにより、消費者が誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合には、上記期間を経過していても、消費者はクーリング・オフをすることができます
消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」
「解約はできません」と言われた。「途中でやめたら違約金です」と言われた。強い口調で引き止められた。
そういうことがあって、それで諦めていたなら、20日を過ぎていても道が残っています。
契約そのものを取り消せる場合もあります
クーリング・オフとは別に、こういう規定もあります。
事業者が勧誘の際に、事実と違うことを告げた、あるいは故意に事実を告げなかった。それによって消費者が誤認して契約した場合、その意思表示を取り消すことができる、というものです。
②で書いたことを思い出してください。電話がかかってくるまで、副業の中身は説明されていませんでした。
その説明がいつ、どのように行われたか。何を言われて、何を言われなかったか。そこが論点になります。
やり方と、証拠の残し方
クーリング・オフの通知は、書面でも電磁的記録でも構いません。
消費者庁は、証拠を残すことを勧めています。書面なら特定記録郵便、書留、内容証明郵便。メールなら送信したものを保存する。ウェブサイトの専用フォームから送る場合は、画面のスクリーンショットを残しておく。



これ、絶対にやってください。送ったという記録が残っていないと、送っていないことにされます。メールなら送信済みフォルダを消さない。フォームなら送信完了画面を撮る。ここをやるかやらないかで、あとの話がまったく変わります。
まず、どこへ行くか
ここまで書いておいてなんですが、該当するかどうかを判断するのは私ではありません。
私は内装屋です。法律の専門家ではありません。この記事に書いたのは、消費者庁が公表している制度の説明と、それをあなたの手元と照らし合わせる方法だけです。
判断してくれるのは、こちらです。
- 消費者ホットライン 188(局番なし)
-
お住まいの地域の消費生活センターに繋がります。無料です。
- 消費生活センター
-
同じような相談を大量に受けている場所なので、話が早いです。
電話をかけるときは、これを手元に置いてください。
- 契約書面・概要書面(あれば。なければ「もらっていない」ことを伝える)
- 支払った金額と、支払った日
- 契約した日
- LINEやメールのやりとり
- 電話で説明された内容のメモ



全部そろっていなくて大丈夫です。「書面をもらっていない」という情報だけでも、向こうには意味があります。むしろ、それがいちばん大事かもしれません。
会社のことを、自分で調べる
次は、相手の会社です。
なぜここを見るのか。**何かあったときに、誰に対して、どこへ言えばいいのかを決めるのがこの情報だからです。**お金の話で相手が特定できないというのは、かなり厳しい状況になります。
幸い、今回は調べられます。順番にやっていきましょう。
特定商取引法に基づく表記
まず、事業者自身が公開している情報です。
| 事業者名 | 株式会社結 |
| 運営責任者 | 名塚實 |
| 所在地 | 〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目8番15号 パークフロント新宿202号室 |
| 電話番号 | 050-8890-6577 |
| メールアドレス | [email protected] |
事業者名、責任者名、所在地、電話番号、メールアドレス。**必要な項目は記載されています。**記載自体がなかったり、連絡先が不明だったりする事業者と比べれば、この点はきちんとしています。
そのうえで、公的な記録と照らし合わせます。
国税庁のサイトで、履歴が見られます
法人には法人番号という13桁の番号が付いています。国税庁のサイトで、誰でも無料で検索できます。
この会社の番号は 4020001161158 です。
この案件で、何が起きているのかで書いたとおり、「株式会社結」という商号の会社は9社以上あります。この13桁だけが、確実に1社を指します。
検索すると、こういう記録が出てきます。
- 令和7年2月6日 法人番号指定(設立)
- 令和8年3月6日 商号変更:株式会社Questor(クエスター)→ 株式会社結
- 令和8年5月21日 本店移転:神奈川県横浜市鶴見区 → 東京都新宿区



ここ、ご自身でも確認してみてください。上のリンクに13桁を入れるだけです。変更履歴まで国が公表しています。私が言っていることではなく、記録に残っている事実だと分かります。
この記録から言えること
設立から1年半ほどの間に、社名が1回、本店所在地が1回、変わっています。
先に公平なことを書いておきます。**社名変更にも本店移転にも、正当な理由があることは珍しくありません。**事業の方向転換、組織再編、単純にオフィスが手狭になった。うちの業界でもよくあります。それ自体が問題だという話ではありません。
ただ、これは記録として残っている事実です。そして、あなたが契約した相手がどういう履歴を持つ会社なのかを知っておくことは、無駄になりません。
もうひとつ、日付を並べておきます。
- 令和8年5月21日 本店移転
- 2026年5月27日 works-musubi.com のドメイン取得
6日です。



本店を移して6日後にドメインを取る。段取りとしては、まあ、そういうこともあるでしょう。ただ、あの広告を見て申し込んだとき、このサイトが立ち上がって間もないということは、どこにも書いていなかったはずです。
電話番号について
記載されている番号は「050」から始まります。IP電話です。
固定電話でなければならないという決まりはないので、これ自体が違法というわけではありません。うちのような小さい会社でも、050を使っているところはあります。
ただ、私は内装工事の見積書を書くのが日常なので、こう考えます。500万円規模の契約を扱う会社の代表番号が、これでいいのか。
そして実務的な話をひとつ。契約前なら、この番号にかけて実際に繋がるかを確認してください。
トラブルになってから「繋がらない」と気づくのが、いちばん困ります。
会社のサイトに書いてあること
株式会社結のホームページ(works-musubi.com/official/)を見ると、主な事業として「インフルエンサーマーケティング」「人材コンサルティング」「広告代理業」を掲げています。
ただ、各事業について書かれているのは抽象的な説明だけで、これまでの取引実績、導入事例、支援した企業、具体的なサービス内容は公開されていません。
ここは、少し個人的な話をさせてください。
私は内装工事の会社をやっています。初めてのお客さんに見積もりを出すとき、必ず過去の現場写真を持っていきます。どこの店舗をやったか、どういう仕上げにしたか。
それがないと、誰も信じてくれないからです。当たり前の話です。



実績を見せるのって、こちらから進んでやることなんですよ。信用してもらうために。求められてから渋々出すものじゃない。うちみたいな小さい会社でもそうです。
「インフルエンサーマーケティング」も「人材コンサルティング」も、それ自体はまっとうな事業です。やっている会社はたくさんあります。ただ、実績が第三者に確認できない状態である、というのは事実として書いておきます。
広告に、会社の情報は載っていましたか
最後にひとつ、確認してほしいことがあります。
「業務提供誘引販売取引」に該当する場合、広告に表示しなければならない事項が法律で決まっています。
- 役務の種類
- 取引に伴う特定負担に関する事項(=いくら払うことになるのか)
- 業務の提供条件
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 法人の場合、代表者または業務の責任者の氏名
- 商品名
あなたが最初に見た広告を思い出してください。
「0円スタートする」「完全無料で安心」「1日たった10分」。
そこに、株式会社結という社名と、名塚實という責任者名と、住所と電話番号は載っていましたか。
そして、あとで17万3千円から526万円の話になることは、書いてありましたか。



広告のスクリーンショットが残っていたら、消さないでください。「そこに何が書かれていなかったか」も、記録です。あとから撮ることはできません。
該当するかどうかの判断は、私にはできません。ただ、その広告を持って窓口へ行けば、判断してもらえます。
すでに払ってしまった方へ
ここからは、手を動かす話です。
先に、この案件の性質を整理します
よくある詐欺の記事には「一刻も早く口座を凍結してください」と書いてあります。相手が逃げてしまう前に、という話です。
今回は、少し違います。
株式会社結は、日本国内で登記されている法人です。法人番号も、所在地も、責任者の名前も、電話番号も公開されています。逃げ隠れしている相手ではありません。
だから、慌てて口座を止めに走る話ではないんです。使うのは、制度のほうです。
ただし、決済を止める手続きは並行して進めます。順番に見ていきます。
まず、何で払ったか
申し込みフォームで「お支払い方法」を選ばされたはずです。何を選びましたか。
これによって、連絡する先が変わります。
クレジットカードの分割払い・リボ払いだった場合
カード会社に連絡してください。
割賦販売法という法律に「支払停止の抗弁」という仕組みがあります。販売業者との間に問題が生じているとき、消費者はクレジット会社からの請求に対して、支払いを拒むことができるというものです。
ただし条件があります。対象は分割払いやリボ払いなどの後払い契約で、金額の下限も定められています。そして翌月1回払いは、この仕組みの対象外です。
使えるかどうかの判断は、私にはできません。カード会社に「支払停止の抗弁を使いたい」と伝えて、条件に当てはまるか聞いてください。それがいちばん早いです。
ローンや信販会社を通した場合
契約のときに、別の会社の申込書を書きませんでしたか。
それは「個別クレジット」かもしれません。商品を買うたびに後払いを申し込む形のもので、クレジットカードとは別の仕組みです。
クーリング・オフが認められる場合、この個別クレジット契約も一緒に解除できることがあります。
これも判断は窓口です。ただ、申込書の控えは必ず出しておいてください。会社名が書いてあるはずです。
クレジットカードの一括払いだった場合
割賦販売法の支払停止の抗弁は使えません。
ただ、カード会社に事情を説明することには意味があります。同じ加盟店について申し出が集まれば、カード会社側の対応が変わることがあります。期待して待つものではありませんが、伝えておいて損はありません。
銀行振込だった場合
振込先の口座情報を控えてください。銀行名、支店、口座番号、そして名義。
相手が国内の登記法人なので、**返してもらう道筋は、口座を止めることではなく、契約を解除して返金を求めることです。その電話は、法律上「勧誘」だったかもしれませんのクーリング・オフか、意思表示の取消し。そちらが本筋になります。
動く順番
3つあります。上から順にやってください。
1. 証拠を固める
サイトはいつか消えます。今日撮ってください。
- 広告の画面(「0円スタート」「完全無料で安心」「1日たった10分」が写るように)
- 申し込みフォーム(電話番号・支払い方法が必須になっているところ)
- LINEのやりとり(全部。消さないでください)
- mottoの料金表
- 特定商取引法に基づく表記のページ
- 契約書面・概要書面(受け取っていないなら、それ自体が重要な事実です)
- 支払いの記録(カード明細、振込明細)
撮るときは、画面上のURLが写るようにしてください。切り抜くと、どのページか証明できなくなります。
2. 消費生活センターに電話する
消費者ホットライン 188(局番なし)。無料です。
伝えることを、あらかじめメモしておいてください。
- 広告を見て申し込んだこと
- 電話で説明を受けたこと。その電話が事業者からかかってきたのかどうか
- 契約した日と、支払った金額と、支払い方法
- 書面を受け取ったかどうか
3. クーリング・オフの通知を出す
該当するという判断が出たら、通知を出します。書面でも、メールなどの電磁的記録でも構いません。
消費者庁は、証拠を残すことを勧めています。書面なら特定記録郵便、書留、内容証明郵便。メールなら送信したものを保存。ウェブのフォームなら、送信完了画面のスクリーンショット。
送ったという記録がないと、送っていないことにされます。ここは手を抜かないでください。
やらないでほしいこと
感情的な連絡をしない。気持ちは分かります。私も、うちの若い職人の話を聞いたとき、まず腹が立ちました。ただ、こちらが何を知っているかを先に伝えると、資料を出してもらえなくなることがあります。連絡するなら、記録の残る形で、事実だけ書いてください。
やりとりを消さない。見返すのがつらくて消してしまう方がいます。それがいちばん惜しい。フォルダにまとめて、見ないようにするだけでいいので、残してください。
追加でお金を払わない。これはあとで書きます。
「返金します」という連絡には乗らないでください
最後にひとつ。
このあと、あなたのところに「返金の手続きをします」「補償が受けられます」という連絡が来ることがあります。メール、LINE、あるいは知らない番号からの電話で。
乗らないでください。
理由は単純です。あなたの連絡先を知っていて、いくら払ったかを知っていて、いま困っていることを知っている相手は誰か、という話です。
そして手数料や保証金の前払いを求められたら、それは同じ形です。



一度払った人には、もう一度払ってもらうほうが早い。向こうから見ると、そういう計算になります。いやな話ですが、そこは冷めた目で見てください。
返金の相談は、あなたのほうから、公的な窓口か専門家に持ちかけてください。向こうから来た話には乗らない。この順番だけ守ってもらえれば、二度目は避けられます。
報告してください
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
最後に、お願いがあります。
これは相談窓口ではありません
先に、正直に書いておきます。
私たちにできないことのほうが多いです。
私は弁護士でも司法書士でもありません。内装工事の会社をやっている人間です。だから、あなたの契約がクーリング・オフできるかどうかを判断することはできません。事業者と交渉することもできません。「お金を取り戻します」とも言えません。
そういうことは、消費生活センターや、弁護士や司法書士の仕事です。
私たちがやっているのは、報告を集めて記録することです。
なぜ、記録を集めているのか
理由はひとつです。
同じ話が何件も届けば、それはもう個人の失敗ではなくなるからです。
ひとりが「騙されました」と言っても、返ってくるのは「なんで信じたの」です。でも同じ手口で、同じ入り口から、同じところに何十人も来ていたら。それはその人の不注意の話ではなく、仕組みの話になります。
この案件で、何が起きているのかで消費者庁の注意喚起を紹介しました。あれも、各地の消費生活センターに相談が数多く寄せられたから公表されたものです。
数が集まらないと、動きません。残念ながら、そういう仕組みになっています。



あなたの一件が、次の人のところに届く材料になります。それだけのために、記録を集めています。
「こんなことで報告していいのかな」と思っている方へ
いちばん届けてほしいのは、その方です。
金額が小さいから。まだ払っていないから。契約する前に気づいたから。よく分からないまま終わったから。
全部、報告してください。
契約前に踏みとどまった話も、同じくらい価値があります。「電話で断れた」「途中でおかしいと思ってやめた」。その情報が、いま迷っている人を止めます。
何を書けばいいか
決まった形式はありません。分かる範囲で構いません。
- どこで広告を見たか(SNS、検索、ランキングサイトなど)
- LINEでどんなやりとりがあったか
- 電話で何を言われたか
- 提示された金額
- 契約したかどうか
- 書面を受け取ったかどうか
- 今どうなっているか
全部埋まらなくて大丈夫です。ひとつだけでも構いません。
とくに「電話で何を言われたか」は、記憶が新しいうちに書いておいてもらえると助かります。時間が経つと、細かいところから消えていくので。
お預かりした情報について
書いておきます。
公表する場合は、個人が特定されない形に加工します。年代や地域や金額を組み合わせると特定できてしまうことがあるので、そこは細かく気をつけます。
そのままの形で外に出すことはありません。あなたの許可なく、どこかに提供することもありません。
そして、報告したからといって、何かを申し込まされることもありません。必要であれば適切な窓口をご案内しますが、それだけです。
急いでいる方は、先に188へ
念のため書いておきます。
いま契約直後で、時間が問題になっている方は、先に消費生活センターに電話してください。
消費者ホットライン 188(局番なし)
クーリング・オフには期間があります。私たちに報告するより、そちらが先です。報告はあとからでも構いません。



順番を間違えないでください。困っているなら188が先。報告はそのあとです。私たちは記録を残す場所であって、急ぎの手続きをする場所ではありません。
話を聞かせてください
最後に。
被害に遭った方が黙ってしまういちばんの理由は、お金を失ったことではないと思っています。責められることです。
家族に言えない。友人に話したら笑われた。窓口で「なぜそんな話を信じたのか」と聞かれた。
私は、聞く側になりたいと思っています。
断れなかったあなたへ
最初に戻ります。
「なんで断らなかったの」。
この記事を読んでくださった方の多くが、一度は言われた言葉だと思います。あるいは、言われるのが分かっているから、まだ誰にも話していないかもしれません。
私がこの記事でやったのは、そう言われる筋合いがないことを、順番に並べただけです。
広告には「0円スタート」「完全無料で安心」「1日たった10分」と書いてありました。仕事の中身は、電話がかかってくるまで説明されませんでした。その電話番号は、申し込みフォームの必須項目でした。最初から、かかってくる作りになっていたということです。そして電話の中で出てきた金額は、17万3千円から526万円でした。「0円〜」の「〜」の先にあったものです。
この形について、消費者庁は2022年に注意喚起を出しています。1日10分の簡単な作業で稼げると勧誘し、副業のガイドブックを買わせ、そのあと電話勧誘で高額なサポートプランを契約させる。その注意喚起で名指しされているのは別の事業者ですが、書かれている流れは、あなたが通った道と、たぶんよく似ています。
国が注意喚起を出すほど、繰り返されている型だということです。
そして法律のほうも、ずいぶん前から手を打っています。「仕事を提供するので収入が得られる」と誘って、そのために費用を負担させる取引には、20日間のクーリング・オフが用意されています。事業者には、契約の前と後に書面を渡す義務があります。その書面には、解除できることを赤い枠の中に赤い字で書かなければならない、というところまで決まっています。
なぜ、そこまで細かく決まっているのか。
その場では断れないことがある、と法律が分かっているからです。
電話の向こうで、相手は毎日その話をしています。こちらは初めて聞いています。相手は断らせないための言葉を知っていて、こちらは断る理由を探している。**その状況で人が冷静な判断をできるとは限らない。**だから国は、あとから考え直すための時間を制度として用意しました。赤い枠と赤い字で、目立つように書けと決めたのも、同じ理由です。
つまり「断れなかったあなたが悪い」という言い分は、法律の前提と食い違っています。
法律は、あなたの側に立っています。
やることを3つに絞ります。
書面を確認してください。契約書面と概要書面。受け取っていないなら、それ自体が重要な事実です。受け取っているなら、赤い枠と赤い字を探してください。
188に電話してください。消費者ホットラインです。局番なしの3桁。無料です。判断してくれるのは、私ではなく、そこにいる人たちです。
画面を撮ってください。広告も、フォームも、料金表も、LINEのやりとりも。サイトはいつか消えます。消えたあとに撮ることはできません。
3つ全部でなくて構いません。上からひとつずつで十分です。
私は5年前、うちで働いていた若い職人に「なんでそんなもん信じたんだ」と言いました。彼は黙って、半年後に辞めました。あのとき言うべきだったことを、いま思い返しても、うまく言葉にできません。ただ、「なんでそんなもん信じたんだ」ではなかった。それだけは分かります。
たぶん、こうです。
書面はあるか。窓口はここだ。一緒に行くか。
それだけでよかったんだと思います。あのとき私にその知識があれば、彼は辞めなかったかもしれません。
だからこの記事を書きました。あなたに同じことを言うために。



書面はありますか。窓口は188です。何から手をつければいいか分からなければ、聞かせてください。











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